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平成14年度教員1日研修実績報告@日進精機株式会社 平成14年7月31日(水) 13:30〜17:00
研修は3部構成からなり、第1部ではビデオによる企業概要の紹介に続いて、代表取締役社長加藤忠郎氏が「ものづくりと企業経営」と題して講演を行った。第2部では30名の教員が3つのグループに分かれて工場内を見学し、第3部では加藤氏が教育とものづくりとの関連について講演した後、質疑応答を行った。 同社は1957年創業以来、金型精密加工技術の機械化・近代化を進め、世界屈指の技術水準を誇る。製造業の空洞化が進む中、明確な経営理念と優れた技術を維持し、グローバル化・ネットワーク化に対応することで国内外に確固たる地位を築いている。同質の物を一度で大量に、しかも安価に供給することを可能にした金型や、大学と共同で開発し2000年に発明大賞特別賞を受賞したCNCパイプベンダーを見学し、誤差を1ミリの千分の一単位に収める技術を目の当たりにした教員からは、その仕組みや需要について質問が活発に交わされた。 また同社では、年少時よりものづくりに興味を持ってもらえるようにと小中学生の工場見学を積極的に受け入れる他、産官学の共同開発を進めるなど教育現場との協同を活発に行っている。その一方で、かつて大半を占めた中卒・工業高校卒の新入社員は昨今の進学率上昇と工業高校の生徒のものづくりへの関心・意欲の低下でほとんど姿を消し、大卒・高専卒が主流になっているといった変化が紹介されると、教員からは工業高校の今後のあり方やものづくりに向けて高校生に何を学ばせればよいのかといった生徒の進路を考える質問が相次いだ。 〔質疑応答(一部)〕
A東京中小企業投資育成株式会社 平成14年8月1日(木) 13:30〜17:00
中小企業や創業まもないベンチャー企業に投資し、企業の育成や新規産業の創出に貢献する同社の研修では、自分で起業しようと構想を練り会社を経営していける人材の育成や、社会全体の中小企業に対する意識改革の必要性が訴えられた。特に、日本では欧米に比べて「自分で何かを始めたい」と考える子供が絶対的に少なく、政府が起業支援の制度を作るだけでは新規産業育成は前進しない、したがって、教育における人材育成から取り組む必要がある、という小野寺氏の主張には、講演後教員から多くの意見が寄せられた。 また、同社の投資実績から見た「成功期待の高いベンチャー経営者例」の紹介では、ベンチャーが成功するにはいくつか傾向があり、事業意欲があり経営能力のある人と、その分野に高い専門性を持つ人との出会いが成功を導いた例や、ニーズを良く知り先が読め安定性の高い経営をできる大企業からの独立組の例、安定性はないが冒険をして収益をあげていく若者の起業例などが紹介され、いずれの中小企業も「この分野では世界一」という高い意識を持っていることが説明された。投資育成という側面から多くの経営者を見てきた小野寺氏の講演は、産業界が必要としている人材を知る上でも示唆に富む内容であった。 〔質疑応答(一部)〕
Bダイヤモンド経営者倶楽部 平成14年8月6日(火) 13:30〜16:30
ダイヤモンド経営者倶楽部は中堅企業の経営者交流組織として1993年に立ち上げられ、会員である経営者向けのセミナーや研究会、懇親会などを企画・運営し、ビジネスのネットワーク作りから様々な実績を生んでいる。代表取締役落合昭人氏による同倶楽部の紹介の後、会員である齋木幸次氏、尾形憲勇氏がご自身の起業家人生をふり返って講演を行った。 美容を通して日本社会に生活の豊かさを提案しようと日鳥大和を設立した齋木氏は、ちょっとした心の持ちようが生き方を変える力を持っていることをご自身の歩みの中から学び、何かに対して志を非常に強く持てば、必ず結果につながるという信念を得た。世界トップの理容室を見て回り、明確なビジョンと具体的な目標の設定が不可欠と感じ、世界一の店に匹敵する店を1000店舗出すという強い志を持って活動している。 株式会社リペアホームサービス代表取締役の尾形氏は高校卒業時に「30歳になったら必ず起業しよう」と心に決め、紆余曲折を経た後、世の中がどのようになっても需要があり、影響を受けない事業をやりたいとの思いから靴修理のチェーン店を展開する現在の会社を設立した。人生の苦難を乗り越え、本物が分かり他人の痛みが分かる心の豊かな素晴らしい人生を送ってきたという実感を得られたと語った。 両者に共通するのは強い志と豊かな人生を追求する思いと、失敗を「いい経験をした」ととらえて次へ生かせる強さであり、それが起業家精神と結びついて確実な成果を生んでいる。参加した教員からは起業への具体的な準備や人生の契機や失敗について、もっと聞かせてほしいという意見が出され、また、具体的な人生の歩みに触れて聞き入る姿が多く見られた。 CNCAコンサルティング株式会社 平成14年9月10日(火) 13:30〜17:00
研修ではまず始めに、代表取締役石井美鈴氏が起業するまでの経緯や人材育成の取り組みをビデオ上映を交えて紹介し、会社の理念や教育への想いを語った。次に教員が社内を見学してそれぞれが社員に質問して回り、最後に質疑応答を行った。 NCAコンサルティングは、社員が営業・受注したデータ入力や市場調査などの業務を、主婦を中心とする専属の在宅ワーカー(NCAレディ)に発注する仕組みでアウトソーシングを行う。石井氏は専業主婦時代の経験を生かして、あらゆる女性のライフサポートをしていける会社を目指しており、2001年にはライフサポートの部分を充実させる為にビアンカというNPO法人を立ち上げた。 同社では学生のインターンや企業体験、教員研修者を積極的に受け入れていることから、学生のコミュニケーション能力の絶対的な不足と社会常識のなさをいつも痛感すると言う。現在「就職難」と言われるが、企業はむしろ、組織にすぐなじめる高いコミュニケーション能力を持ち、自分から活発に行動できる優秀な人材ならば喉から手が出るほど欲しいがそれがなかなか見つからない「人材難」の状況を感じている。そこでインターン受け入れ等の活動を通して、環境は自分で切り開くものという姿勢や社会常識を徹底的に教える他、ビアンカのHPを通じて、職業選択や社会参加の糧になる情報を広く提供し、様々なサポートを行っている。石井氏は「教師には、時代の変化に対応していける人材を育てて欲しい」と述べ、教育を含めた様々な活動に携わる経験から切実な想いを教員に伝えた。 講演後の社内見学では、勤務中の社員に教員が歩き回って自由に質問する場を設けていただくなど、「自分から積極的に参加する」という同社の方針の徹底ぶりが伺われ、教員はそれぞれ興味を引かれた場所に散らばり質問を行った。 〔質疑応答(一部)〕
Dキュービーネット株式会社 平成14年9月12日(木) 13:30〜17:00
代表取締役会長小西國義氏のご挨拶の後、会場である本社から歩いて数分の所にある店舗を見学した。近年巷で注目を集める「10分1000円のヘア・カット」の先駆けである理容室QBハウスの店舗内を実際目にしてみると、徹底したデータ管理システムや職員が効率的に動ける内装など「10分1000円」を可能にする独自の仕組みが随所にあり、感嘆する教員の姿が見られた。 続いて会場に戻り、小西氏が1995年にキュービーネットを設立した経緯やこれまでの苦労、経営の理念などについて講演した。社名のQBはアメリカンフットボールのクォーターバックから取り、業界をたばねたいという想いが込められている。小西氏が昔教師に「コストのかかる鈍行電車よりコストのかからない急行電車の方が乗車料金が高いのはなぜか」と尋ねた時、「それは時間だよ」と教えてくれた一言が時間を考えるきっかけとなって、QBハウスの時間節約というコンセプトにつながった。業界の常識が利用者にとって不利益になっている点に着目し、「何でもやる店」ではなくコンセプトに特化した店を実現させ、多数の利用者のニーズをつかむことに成功した。また、フランチャイズチェーン店の店長を3年で独立させる独立開業制度を設け、スタッフに明確な夢を持たせる工夫をしている。 小西氏は幼少の頃からの発明好きな性格を下地として、成功を目指す想いとそれを実現する知恵をもってニュービジネスを成功させた経験から、若い人には好きなことを仕事にする可能性を十分に探らせるべきだと考える。これからの時代はゼネラリストよりスペシャリストが求められる時代になると考え、教師や大人が子供の「好き」という大きなパワーを向ける方向を見つけてやることが重要だと述べた。そしてその為にはいつも高い所からものを言うのではなく子供の目線に合わせること、そして感動や夢をできる限り与えて子供の進路のきっかけを作ってあげてほしいと教員へ訴えかけた。 〔質疑応答(一部)〕
E株式会社サンブリッジ 平成14年10月3日(木) 13:30〜17:00
冒頭で各教員が一言ずつ自己紹介を行った。ベンチャー企業を見ることで「現代社会」や「政治経済」の科目を教える素材にしたいという意向や、第二の人生の為の準備としても役立てたいという希望など様々な動機と背景を持って参加する教員の姿が見られ、株式会社サンブリッジ代表取締役社長であるマイナー氏はどの人にも一つでも来て良かったと思える話をできればと語り、会社の紹介を行った。サンブリッジが掲げる"ベンチャー・ハビタット"とは、弱い企業を何とか潰れないようにサポートするというものではなく、また資金面でのサポートだけを行うものでもなく、高いポテンシャルを持つ会社を支援してその可能性を最大限に引き出す為に、起業に最も適した有機的な環境を作り出すことを目指している。様々な人間が一箇所に集まって意見を交換し刺激し合える、シリコンバレーのようなベンチャーのハビタット(生息場所)を作り出したい、というマイナー氏の強い思いからサンブリッジは立ち上がったのだという。 社内の見学では、隣接する多摩大学の画期的なビジネススクールであるルネサンスセンターやサンブリッジの投資する18〜19社が一堂に会する大部屋を回り、各企業の特色や起業の進度について具体的な話を伺った。 後半はマイナー氏が、サンブリッジのビジネスモデルや投資先決定の主要因、現在求められる人材像などについて講演を行った。サンブリッジは場所・施設の提供(ハビタット創生)と会社を立ち上げる為の資金提供という2つの機能を組み合わせた相乗効果で利益を上げる独自のビジネスモデルを作り上げた。投資家が投資先を選ぶ時重視する点は、第一に起業家の「熱意」、第二に「誠実さ」といういずれも人そのものに関する要因であるという統計を引き、経営者の個性こそが会社の戦略となることを述べた。また、投資家を悩ませる、伸びもせず潰れもしない"Living Dead(生きた死人)"の状態にある会社が特に日本でいかに多いかという点に触れ、さらに人間レベルでもLiving Deadがあふれている社会に対し、ヒト・魅力・ツキ・ネットワークの4点こそ成功の条件であり、求められる人材であると語った。加えて教える立場にある人には、日本的な倫理を堂々と教えてほしいと述べ、自分に正直な人材を育て、一人一人を大切にした教育を行ってほしいと訴えた。 〔質疑応答(一部)〕
F株式会社ビー・ストーム/マノ精工株式会社 平成14年10月4日(金) 13:30〜17:00
初めに精密機械部品加工を行っているマノ精工株式会社の代表取締役社長である林愛子氏が「企業が求める人材像」をテーマに講演を行い、自社の人材育成への取り組みを合わせて紹介した。林氏は、「企業の重要な目的は利益を追求することであり、利益が上がらなければ企業は存続できない」という大命題をまず確実に認識した上で、「存在感のある小さな一流企業」を目指して会社づくりに尽力し、中国に押されるものづくりの世界において着実な歩みを続けてきた。とりわけ、企業にとって最も大切なのは「人」であるとの考えから、社員を外部機関に派遣するなどして人材教育に力を入れ、一人一人を育てることでチームワークをも育んでいくことを目指している。林氏は、現在企業が求めている人材として、英語とコンピュータを当然身につけており、さらに@物事の基本を身につけているAコツコツ積み上げられるB積み上げたものに対し集中できるC責任感がある=最後までやる、という条件を備えていることを挙げ、それは企業の大小に関わらず求められることを教員に伝えた。 次にマノ精工の工場内を見学しながら一つ一つの部品について説明を受け、各部品が細心の心配りで製品として仕上げられていることや作り上げた製品に対する社員の自信と誇りを感じることができた。 続いて株式会社ビー・ストーム代表取締役社長の志村則彰氏が「リーダーシップ」をテーマに講演を行った。エレクトロニクス革命を端緒に世の中が急速な変化を続ける中を歩んできた志村氏は、その時々の変化を感じ取り、変化を生かしてチャレンジし成功してきた経験から、「ビジネスに携わる者にとっては変化こそ最大のチャンスになる」と悟った。さらに変化にチャレンジして成功するかどうかはひとえに他者との差別化を図れるか否かにかかっている。志村氏自身カシオ計算機時代から、技術プロデューサーとして事業構想を練り急激な技術革新の中で他社との差別化を図ってヒット商品を世に送り出してきた。 また志村氏は、変化を生かして物を生み出すこうした楽しさや科学の面白みを子供に知らせたいとの思いで、技術の進歩を目の当たりに感じられるよう工夫するなどしながら様々な場で子供に伝え続けている。志村氏はこれまで好きなことをとにかく一生懸命やってきた人生の歩みを振り返り、全ての活動が自分の身となって生きているのを感じており、子供たちにはとにかく好きなことに打ち込んでほしいと語った。また「人をまとめ、説得するのが上手い」という長所を自覚したことで技術プロデューサーとしての道が開けたことから、子供が自分の長所を早く知ってそれが生かせる場所をできるだけ早く見つけて欲しいという思いを教員に語った。 最後に新しい仕事を生み出す起業家の資質に触れて、「リーダーシップ」とは各時点でのリスクを賭して決断できることである、という考えを示した。 人を育てる姿勢や求めている人材、子供に望むこと等について経営者という立場でどう考えているのか、という貴重な現場の声を聴くことができ、迫力ある講演に聞き入る教員の姿が見られた。 〔質疑応答〕
G森ビル株式会社 平成14年11月12日(火) 13:30〜17:00
まず初めに、森ビル株式会社の広報室の安田氏より、森ビル株式会社の沿革や、森ビルがこれまで手がけてきた主要なプロジェクトの概要が紹介された。その中で安田氏は、森ビルの手がけている事業は、転売などを目的とした「地上げ」とは異なり、都市再生であり、地権者の理解と協力に基づいて進められていることを説明した。 続いて、文化事業部の礒井氏より、森ビルの手がけている文化事業の一例として「アカデミーヒルズ」の概略が紹介された。森ビルの創業者自身が教育者であったこと、また「街づくりは人づくり」というコンセプトの下、森ビルでは「教育・研究・事業」を3つの柱とするアカデミーヒルズを六本木のアークヒルズで運営している。アカデミーヒルズは、都心での高等教育の場として、複数の大学との共同事業の形で、ビジネス・パーソンを対象とした様々な講座や、都市政策・ITなどに関しての政策提言などの研究事業、さらには研究成果の事業化を推進する場である。一つの大学や一つの学部ではできないことを、様々な人的ネットワークをベースに幅広く展開している。さらに、教育事業とはサービス業であり、少なくとも社会人に対しては「ティーチングでなくラーニング」という顧客志向が成功の要であること、また、公的機関の提供する教育を含めたサービスのある部分は民間でも提供できるものであり、森ビルとしても意欲的に取り組んでいることが示された。日ごろの観点とは異なった視点での民間企業の教育事業への取組みに対し、参加教員の関心も高かったようである。 さらに、同社の研究成果の一つである東京都港区とニューヨークの立体模型を前にして、広報室の安田氏より、東京の都市としての問題点やそれに対しての森ビルの考え方、取組が話された。ニューヨークと比して、土地の有効活用の割合が低く、また道路幅や区画が狭小であることは、立体模型を前にすれば歴然であり、模型の精緻さもあいまって、参加教員にとっては印象に残るものであったようである。 〔質疑応答(一部)〕
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